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1年を振り返って|あんべこどもクリニック|印西市の小児科・アレルギー・予防接種・乳幼児検診

1年を振り返って


今までブログ欄を設けたものの日々の診療や体制作りにいっぱいいっぱいで、なかなか書けずにいました。そろそろ書き込んでみようと思います。

 

本日4/1でくやま小児科を引き継いでからちょうど1年になりました。時が経つのは早いもので、院長就任当時に診察したフニャフニャの赤ちゃんが、今ではトコトコ歩いています。そういう子を見るたびに、「元気に成長するお手伝いができているのかな」、「微力ながらも地域に貢献できているのかな」と実感することができ、嬉しく思います。

 

私がくやま小児科を引き継いでから感じたことは、既存の文化を変える・壊すことの大変さでした。すでに多くのかかりつけのお子さんがいて、長年をかけて磨かれたスタッフの立ち回りもあり、スムーズに診療を開始することができました。患者さん達も、これまでのやり方に慣れていて、それを信頼していたかと思いますが、いくつか変えていきたいところもありました。

 

一つ目は「患者を断らないこと」です。

私が育った八千代医療センターという場所は患者を断りません。どんなに忙しくても患者を断るという選択肢はありませんでした。断ったら、その患者が行き場を失うからです。確かに患者を制限することで時間通り診療を進められるし、スタッフも余裕ができて充実したケアを行えるというメリットがありますが、そうすると急な発熱や体調不良といった緊急性の高い疾患の子を診ることができなくなります。私にはどうしてもそれを良しとすることはできませんでした。患者さんには受診する・しないを選ぶ権利がありますが、私たちにはあるのは目の前の患者を診察する一択のみです。当初はなかなか浸透せず、診察しながら受付の電話にそば耳を立てたりしていたのを懐かしく感じます。今ではしっかり受けてくれていると思いますが、万が一断られたなどあれば、直接私に教えて下さい。

その甲斐あってか、去年4月の平均来院患者数は90人台/日でしたが、徐々に増えていき、今では140-160人台/日になりました。一日の最高来院患者数は200人です。いくら断らないと言っても、まさかここまで多くの患者さんが来てくれるようになるとは思っておらず、頼ってもらえる嬉しさを実感する日が増えてきました。余計なことを考える暇もなく、一日一日があっと言う間に過ぎ去っていきました。他のクリニックや総合病院でも小児を診ているところはありますが、小児科専門ではなかったり、待合室には小児だけではなく成人の方も一緒だったりして、そういうところを気にされる親御さんは決して少なくないのかなと思いました。

しかしそうなると、一人で診察する場合、患者さん一人にかけられる時間は2分程度です。これでは患者さんも私も満足する診療ができません。本当ならあれもこれも伝えたい・聴きたいのにと、もどかしく思うことも増えてきました。患者は断らない、けれども時間をかけて丁寧に診察したいというジレンマに陥りました。そこで考えたのが2診体制です。それまでは、自分一人でこの地域の小児医療を支えるぞ!と肩肘張ってやる気満々でいましたが、結局それはただの自己満足であって、患者さんのためになっていないと思ったからです。患者さんが望むのは「小児を専門にしている医師」に、「極力待ち時間が短く」、「希望があればいつでも診てもらえる」クリニックなのではないかと考え、久山さんをはじめ、聖隷佐倉病院や八千代医療センターの非常勤の力を借りて、火曜午後以外は2診体制としました。ゆくゆくは全てを2診体制とするつもりです。

 

二つ目は「受付の対応」です。

去年の秋に行った患者満足度アンケートでは多くの方から貴重なご意見をいただきました。圧倒的に多かったのが受付の対応に関してでした。私自身は診察室にこもっているため、受付の対応を逐一確認することはできません。生の声が聞けてとても参考になりました。

確かに忙しい業務の中でミスをしてはいけないという気持ちから、自分の仕事に集中してしまうのはわからないでもないですが、それは単なる言い訳です。プロがすることではありません。子供は笑顔で一言かけるだけでも安心します。安心した子をみて親御さんも安心します。それがまず初めに患者さんと会う受付の役目です。それを徹底できるように受付の雰囲気や考えを一新する必要がありました(かく言う私も、患者さんを待たせてしまって急いている時は、つい笑顔を忘れがちになってしまうので反省です・・・)。

そこで、新たに受付スタッフを迎えることにしました。一人は私の弟です。私より老けて見えるようですが、兄ではありません。弟です。彼は15年間、千葉大学病院で看護師として集中治療室に勤務していましたが、現状を打破するために快く協力してくれることになりました。診察室にいても彼が待合室で子供に声をかけているのが聞こえてきます。処置で泣いていたりする子がいると、ふらっと寄ってきてあやしています。2男2女のパパなので、子供への対応に慣れているのでしょう。また、集中治療室での経験を生かして電話相談や診察室で具合が悪そうな子がいればピックアップして報告してくれます。そして受付の対応や仕事内容の問題点も挙げてくれます。時々看護師としても動きますが、むしろこちらが本職なので安心してください。他にも会計処理に長じた人が2名、新たに加わりました。診察後の待ち時間も大きく短縮されることと思います。また、受付自体も余裕ができ、これまでとは比較にならない程のきめ細かいサービスを提供することができるはずです。これから少しずつですが確実に良い方向に変化してくれると確信しています。次の患者満足アンケートがどんな評価になるのか楽しみです。

 

三つ目は診療時間の拡大です。

夜間や休日に受診したいと思ったとき、この近辺では印旛市急病診療所や成田市急病診療所、やちよ夜間急病センターなどやや遠方になります。処方も一日分しかもらえません。共働き世帯が多いこのご時世、再度薬をもらうためにクリニックを受診するのは容易なことではないでしょう。地域をカバーするクリニックとして、患者が受診したいときに気軽に来院できる体制を整えることも大切なことと思いました。

水曜午後は私が八千代医療センターで専門外来を担当しているため、クリニックを開けることはできません。そこで考えたのがアンケートで8割の方が希望されていた日曜診療でした。まずは様子見として隔週・半日からスタートしますが、需要が高まり、スタッフも充足してきたら終日診療にしていこうと考えています。

 

スタッフの不安をよそに、半ば強引に改革したことも多々ありましたが、とりあえずやってみようというのが私の考え方です。失敗したら傷口が広がらないうちに元に戻せば良いだけです。変化や失敗あってこその成長だと思います。皆様の中には振り回されて迷惑と感じる方もいらっしゃるかと思いますが、どうか私のわがままにお付き合い下さい。逆に皆様からも「こうして欲しい」といった意見があれば、遠慮なく教えてください。なるほどと思えば実現に動きますし、仮に実現できなかったとしても、そのアイディアからより良いアイディアが生まれるかもしれません。

今現在も温めている案がいくつかありますが、詳細が決まり次第、随時お知らせしていきます。これからも患者さんが望んでいることは何か、その中で自分達ができることはどれかを見比べながら、少しずつ前進していく所存です。

 

これからもどうぞよろしくお願い致します。

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